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R31スカイラインは鉄仮面にあらず?似ている理由と決定的な3つの違いを徹底解説

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こんにちは。「classicfrontier」の「マコト」です。

あなたは今、「R31 スカイラインの鉄仮面」が気になって検索しているものの、R30とR31の違いがいまいち分からず、モヤモヤしているのではないでしょうか。

ネット上の画像を見ても、どちらもカクカクしていて似ていますし、中古車サイトを見ても用語が混在していて混乱しますよね。実は、この悩みは多くの人が通る道なんです。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • ✅ R31スカイラインと鉄仮面と呼ばれるモデルは同じ車だと思っている
  • ✅ 街中で見かけた四角いスカイラインがR30なのかR31なのか判別できない
  • ✅ 「鉄仮面」という愛称がカッコよくて惹かれているが、実車がどれか自信がない
  • ✅ 80年代の日産車はみんな同じようなデザインに見えてしまう

もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。

R31スカイラインと鉄仮面の関係とデザインの誤解

まずは、多くのファンが陥りやすい「名称の罠」について整理していきましょう。なぜR31と鉄仮面がこれほどまでに混同されてしまうのか、その歴史的背景と視覚的な理由を紐解いていきます。

鉄仮面の愛称はR30後期型だけの特権

日産スカイラインR30
出典:NISSAN HERITAGE COLLECTION

結論から言ってしまうと、「鉄仮面」と呼ばれるのは1983年にマイナーチェンジを行ったR30型スカイラインの後期モデルだけです。

R31型スカイラインは、広告コピーの「都市工学です。7th Skyline」に由来して「7th(セブンス)」や「都市工学スカイライン」などと呼ばれる世代で、鉄仮面とは別の系統に属します。

私自身も旧車にハマりたての頃は混同していましたが、この区別はファン同士の会話でも非常に重要です。鉄仮面という名前は、R30後期型のグリルレスデザインがあまりにも衝撃的で、中世の騎士の兜に見えたことから自然発生的に生まれたものです。メーカー公式のペットネームではなく、市場の熱狂が生んだ愛称なんですね。

一方で、その次世代であるR31型に「鉄仮面」という言葉を使うのは、厳密には間違いということになります。まずはこの定義をクリアにしておきましょう。

型式愛称製造期間特徴
R30(後期)鉄仮面1983-1985グリルがない、スパルタン
R317th(セブンス)1985-1989少し丸みがある、ハイソカー

スペックやエンジン構成などをもっと詳しく比較したい方は、別記事「スカイラインR30とR31の違い比較!史上最強の4気筒か、新世代RB6気筒か?」も参考にしてみてください。

検索画像でR31と似てると感じる理由

検索画像でR31と似てると感じる理由
イメージ:classicfrontier

「じゃあなんでR31 スカイライン 鉄 仮面なんて言葉で検索しちゃうの?」と思いますよね。これには明確な理由があります。それは、R31型の高性能モデルである「GTS-R」などの存在です。

R31も後期モデルになると、ヘッドライトのデザインが変更され、かなり精悍な顔つきになります。特にグループA参戦のために開発された「GTS-R」は、固定式の大型フロントスポイラーを装備しており、その攻撃的なルックスはR30鉄仮面の持つ「戦うクルマ」のオーラを色濃く継承しているように見えるんです。

パッと見た瞬間の「厳つさ」や「硬派な雰囲気」が似ているため、記憶の中でイメージが重なってしまうのは無理もありません。また、どちらも「赤と黒」のカラーリングが似合うことも、混同を招く一因と言えるでしょう。

80年代特有のボクシーなデザインの魔力

もう一つの大きな要因は、80年代という時代が生んだデザイン言語です。この時代の車は、定規で引いたような直線基調(ボクシー)のデザインが主流でした。

R30もR31も、カクカクしたボディライン、水平基調のダッシュボード、そして四角いヘッドライトを持っています。現代の流線型の車に慣れた目で見ると、この2台は「同じ時代の四角い日産車」という大きなカテゴリで括られてしまいがちです。

しかし、この「四角さ」の中にこそ、当時のエンジニアたちのこだわりが詰まっています。

細部をよく観察すると、R30は「ナイフで削いだような鋭さ」を持ち、R31は「少し角を落とした知的な四角さ」を持っているという違いが見えてきます。ここからは、その具体的な見分け方を解説しますね。

フロントやテールで見るR30とR31の違い

ここからは、街中やイベントでスカイラインを見かけた時に、一瞬で「あ、これはR31だ!」「こっちは鉄仮面だ!」と見分けられるようになるためのポイントを解説します。見るべき場所は3箇所だけです。

グリルレスの鉄仮面とグリルのあるR31

グリルレスの鉄仮面とグリルのあるR31
イメージ:classicfrontier

一番分かりやすいのは、やはりフロントマスク(顔)です。その名の通り、「鉄仮面」ことR30後期型には、ラジエーターグリルがありません。

ボンネットの先端がバンパーまでスラント(傾斜)していて、あるのは細いスリットだけ。まさにのっぺりとした金属の仮面のような顔をしています。これは当時としては非常に前衛的なデザインで、空力特性を向上させるための機能的なアプローチでもありました。

対してR31型は、サイズこそ小さいものの、基本的にラジエーターグリルが存在します(GTS-R等は特に目立ちます)。もしフロントを見て「あれ?鼻の穴(グリル)がないぞ?」と思ったら、それは間違いなくR30鉄仮面です。

テールランプの枠やサイズで見分ける

テールランプの枠やサイズで見分ける
イメージ:classicfrontier

スカイラインのアイデンティティである「丸目4灯テールランプ」にも、明確な違いがあります。

【テールランプの見分け方】

  • R30(鉄仮面):外側の丸が大きく、内側の丸が小さい異径サイズです。レンズは平板なデザインで、通称「ホットプレート」とも呼ばれることがあります。
  • R31(7th):4つの丸が同じサイズです。レンズの中央が深く、奥行きがあり、ジェット機のアフターバーナーのようなデザインになっています。

後ろ姿を見た時、すべての丸が均等な大きさで、少し立体的でオシャレな感じがしたら、それはR31型である可能性が高いですね。夜間に点灯した時の雰囲気も、R30はシンプルに光るのに対し、R31は奥行きのある幻想的な光り方をします。

決定的な違いはCピラーの角度にある

決定的な違いはCピラーの角度にある
イメージ:classicfrontier

個人的に一番確実な見分け方だと思っているのが、横から見た時のCピラー(後部座席横の柱)の角度です。

R30は非常に角度が立っていて、キャビン(居住空間)が四角く見えます。これは実用性を重視した結果でもあります。対してR31は、当時のハイソカーブームの影響を受けてCピラーが少し寝ており、リアガラスにかけてのラインが流麗になっています。

特に4ドアハードトップのR31は、センターピラーレス構造と細く寝かせたCピラーによって、サイドビュー全体が滑らかに繋がるデザインになっています。この部分を見ると、R30の無骨さと、R31のラグジュアリー志向の違いがハッキリと分かります。

R31の前期と後期で変化する顔つき

R31 GTS-R
出典:NISSAN HERITAGE COLLECTION

少しマニアックになりますが、R31型の中にも「前期」と「後期」があり、顔つきがガラッと変わります。

R31前期型は「絶壁」と呼ばれるほど四角い顔で、ヘッドライトも普通の角目です。これはこれでクラシックな魅力がありますが、スポーティーさは控えめです。これがR31後期型になると、当時最新鋭だった「プロジェクターヘッドライト」が採用され、目がクリッとした精悍な顔つきになります。

検索して「鉄仮面っぽい」と感じるのは、主にこの後期型(特に2ドアスポーツクーペ)の方でしょう。プロジェクターランプ特有の「睨みつけるような目つき」が、鉄仮面の威圧感と重なるのです。

オートスポイラーが作るフロントの厚み

R31型(GTS系)の特徴的な装備として、「GTオートスポイラー」があります。これは速度に応じてフロントバンパー下からスポイラーが自動で出てくるという、男心をくすぐる可変エアロシステムです。

この装備のおかげで、R31のフロント周りは非常に厚みがあり、どっしりとした印象を受けます。駐車中は格納されていることが多いですが、出ている状態(または固定化されている状態)だと、顔周りの迫力が増します。R30鉄仮面もエアダムスカートを持っていますが、R31の方がより近代的で、メカメカしい造形をしているのが特徴ですね。

スパルタンな鉄仮面とハイソなR31の美学

ここまで見分け方を解説してきましたが、R30とR31、どちらが優れているという話ではありません。それぞれが目指した「美学」が違うのです。最後に、それぞれのデザインが持つ魅力について語らせてください。

都市工学が生んだ洗練された直線の美

R31型は、「都市工学です。7th Skyline」や「ソフトマシーン」といったキャッチコピーで、都市に馴染む洗練された高級スポーティサルーンを目指したモデルです。

鉄仮面が「サーキットからそのまま飛び出してきたような荒々しさ」を持つのに対し、R31は「スーツを着て乗れるスポーツカー」といった趣があります。直線基調でありながら、どこか優雅で色気がある。これこそが、R31スカイライン 鉄仮面と検索してしまう人々が、無意識に感じ取っているR31独自のカッコよさなのかもしれません。

この「都市工学」というコンセプトは、当時の日産が目指した新しい高級感の形であり、その後のR32型以降のデザインにも大きな影響を与えています。

(出典:日産自動車『NISSAN HERITAGE COLLECTION online|スカイライン歴代12代の軌跡』

中古車選びでチェックしたい外装の錆

中古車選びでチェックしたい外装の錆
イメージ:classicfrontier

もし、あなたがこのデザインに惚れて購入を検討しているなら、デザインを楽しむ以前に注意すべき現実的な問題があります。それは「錆」です。特に80年代の車は防錆技術が現在ほど発達していなかったため、ボディの腐食は避けて通れない課題です。

【特に注意したいポイント】

R30、R31共に製造から30年以上が経過しており、外装の美しさを保っている個体は稀です。購入時は以下のポイントを重点的にチェックしてください。

  • リアフェンダーのアーチ部分:塗装が浮いていたり、触ってボコボコしていたら内部が腐食している危険信号です。
  • トランク内のスペアタイヤハウス:雨漏りで水が溜まりやすく、底が錆びて穴が開くことが多い箇所です。
  • ウィンドウモール周辺:ゴムの劣化による雨漏りから錆が進行します。

R31は特に、リアウィンドウ周りのモールが入手困難になっているケースが多いです。外装の美しさを維持するためには、購入時にこれらのポイントを徹底的にチェックし、必要であれば板金修理の予算も確保しておくことをおすすめします。

カスタムで際立つ両車の個性の違い

カスタムで際立つ両車の個性の違い
イメージ:classicfrontier

最後に、カスタムの方向性の違いも面白いですよ。デザインの素性が違うため、似合うスタイルも異なります。

R30鉄仮面のカスタムスタイル

R30は、やはり「西部警察」や「スーパーシルエット」のイメージが強く、赤黒ツートンカラーや、大型のリアウイング、深リムのホイールといった派手なスタイルが似合います。無骨さを強調する方向性が王道です。

R31のカスタムスタイル

一方でR31は、グループAレースで活躍した「リーボックカラー」のレプリカ仕様も人気ですが、あえて純正エアロを生かして車高を落とす「大人なシャコタン」も映えます。BBSホイールなどを合わせて、ハイソカー的な雰囲気を残しつつスポーティーに仕上げるのが粋ですね。

「どうイジりたいか」を想像することで、あなたが本当に求めているのが鉄仮面なのか、それともR31なのかが明確になるはずです。

読者からよく聞かれる!R31と鉄仮面のQ&A

記事の締めくくりの前に、私のブログ読者さんやイベントで会う車好きの方からよく聞かれる「R31と鉄仮面に関する素朴な疑問」にお答えします。ここを読めば、もうマニアとの会話で冷や汗をかくことはありません(笑)。

Q1. R31に鉄仮面の顔を移植(スワップ)できますか?

A1.「R31のボディの方が新しいから、これに鉄仮面の顔を付ければ壊れにくくて最高じゃないか?」と考える方がたまにいらっしゃいますが、結論から言うとほぼ不可能、あるいは莫大な費用がかかります。

似ているように見えて、R30とR31では車体の幅やフェンダーの形状、ボンネットの取り付け位置などの骨格(フレーム)が全く異なります。無理やり付けることは物理的には可能かもしれませんが、板金加工に数百万円単位の費用がかかるでしょう。それぞれのオリジナルデザインを楽しむのが一番の近道です。

Q2. 中古車相場は結局どっちが高いんですか?

A2.現状では、圧倒的に「R30鉄仮面」の方が高値で取引されています。特に2ドアのターボモデルは世界的に人気があり、状態が良ければ400万円〜700万円台といったクラスになるケースも少なくありません。

ただし、R31も限定車の「GTS-R」だけは別格です。これは鉄仮面と同等か、それ以上のプレミア価格が付いている個体もあります。一方で、R31の標準グレード(GTS-Xなど)は、程度や仕様にもよりますが、おおむね200万円台〜400万円台前後で見つかることが多く、比較的狙いやすい存在と言えるでしょう。

Q3. 「あぶない刑事」に出ていたのはどっちですか?

A3.これも非常によくある勘違いですね!

西部警察:R30鉄仮面(マシンRS-1, 2, 3)が活躍。赤と黒のツートン。
あぶない刑事:R31スカイライン(港302, 303など)が活躍。ダークブルーツートンなど。

「タカとユージ」が乗って横浜の街を走っていたのは、今回解説しているR31(セブンス)の方です。劇用車のレプリカを作りたい場合は、間違って鉄仮面を買わないように注意してくださいね!

R31スカイラインと鉄仮面のデザイン総括

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。R30とR31、似ているようで全く違う2台の個性を感じていただけたでしょうか。

  • 鉄仮面は「R30後期型」の愛称であり、R31は「7th(セブンス)」である
  • フロントにグリルがなく、のっぺりしているのが鉄仮面
  • テールランプの丸が4つとも同じ大きさならR31
  • Cピラーが垂直に近いのがR30、少し寝ているのがR31

もし街中で「おっ、カッコいいスカイラインだ!」と思ったら、ぜひCピラーの角度とグリルの有無を確認してみてください。その瞬間、あなたはもう「鉄仮面」と「7th」を間違えることはありません。

デザインの違いを理解した上で、あなたが心から「乗りたい!」と思える一台に出会えることを応援しています!

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