こんにちは。「classicfrontier」の「マコト」です。
ロングノーズ・ショートデッキの美しいシルエット、そして心臓部に収まるL型エンジンの野太い咆哮。S30型フェアレディZは、誕生から半世紀以上が経過した今なお、私たち車好きを魅了してやまない日本の宝です。
その美しいスタイリングを見ているだけで所有欲が湧いてきますし、「いつかはS30」と夢見ている方も多いのではないでしょうか。
でも、いざ購入を本気で検討し始めると、どうしても頭をよぎるのが現実的な「お金」の問題、つまり「維持費」ですよね。特に旧車は、毎年の税金や燃費、そして車検費用といったランニングコストが現代の車とは大きく異なります。
「維持費はどれくらいかかるの?」「普通のサラリーマンのお小遣いで維持できる?」そんな不安を感じて、あと一歩が踏み出せない方も多いはずです。
この記事では、私が実際に調べたデータやオーナー間のリアルな相場をもとに、フェアレディZ(S30)の維持費に関する数字を徹底的に掘り下げてシミュレーションしてみようと思います。夢を現実にするために、まずは敵(コスト)を知ることから始めましょう。
あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?
- ✅ S30Zが欲しいけれど、年間でいくらかかるのか想像がつかない
- ✅ 旧車の税金は高いと聞くけれど、具体的にいくら上がるのか知りたい
- ✅ 燃費が悪そうだけど、ガソリン代で破産しないか心配だ
- ✅ 車両保険や修理費の積立など、見落としがちな費用も把握しておきたい
もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。
なお、金銭的なコストだけでなく、旧車を所有するための「精神的な覚悟」や「デメリット」についても知っておきたい方は、先に以下の記事も参考にしてみてください。維持費の計算をする前に、心の準備をしておくことも大切かもしれません。
(関連記事:フェアレディZはやめとけと言われる本当の理由とは?後悔しないための覚悟)
フェアレディZの維持費は高い?
結論から申し上げますと、S30Zの維持費は、現代のプリウスやノートのようなエコカー、あるいは86などの現行スポーツカーに比べれば、確実に高額になります。これは変えようのない事実です。
しかし、「高い」と言っても、それが月々数千円の違いなのか、数万円の違いなのかによって、対策は変わってきます。具体的な内訳を知れば、決して「雲の上の金額」ではなく、計画的に管理できる範囲の出費であることも分かるはずです。
まずは、避けては通れない税金や燃費といった基本的な固定費・変動費から、詳細に見ていきましょう。
13年超で重課税となる税金の仕組み
旧車オーナーにとって最も頭の痛い問題、それが自動車税と重量税における「重課税制度(グリーン化特例)」です。
これは、環境負荷の大きい古い車の税率を重くし、環境性能の良い新しい車への乗り換えを促すという国の施策ですが、S30Zのような歴史的価値のある車にとっては、ただただ維持費を押し上げる要因となってしまっています。
まず自動車税ですが、ガソリン車は新規登録から13年を経過すると、概ね15%程度の重課税が適用されます。S30Zは最終型でも1978年式あたりですから、当然すべての車両がこの対象となります。
例えば、最も一般的なL20型エンジン(1,998cc)を搭載しているモデルの場合、通常の2.0L以下の自動車税は39,500円ですが、重課税適用後は約45,400円となります。
さらに、L24型エンジン(2,393cc)を搭載する240Zや、L28型エンジン(2,753cc)に換装・公認取得している車両の場合、排気量区分が「2.0L超~2.5L以下」または「2.5L超~3.0L以下」となり、ベースの税額自体が上がります。L24型であれば通常45,000円のところ、重課税で年額約51,700円の納付書が毎年5月に届くことになります。
なお、同じS30でも「S30」「HS30」「HLS30」などの型式や、L20/L24のキャラクター差で混乱しやすいので、購入検討中の方は一度こちらも押さえておくと理解が一気に深まります。
(関連記事:240ZとS30Zの違いをオーナー視点で解説!)

自動車税種別割の年額一覧(参考)
| 排気量区分 | 通常税額 | 13年超(重課税) |
|---|---|---|
| 1.5L超 ~ 2.0L以下 (L20型など) | 39,500円 | 約45,400円 |
| 2.0L超 ~ 2.5L以下 (L24型など) | 45,000円 | 約51,700円 |
| 2.5L超 ~ 3.0L以下 (L28型など) | 51,000円 | 約58,600円 |
さらに重量税についても同様の仕組みがあり、こちらは「13年経過」と「18年経過」の2段階で税額が上昇します。S30Zは18年経過の区分ですので、車検時に支払う重量税も最高ランクの割増率となります。
ここで注意点として、重量税は年式(13年・18年超)だけでなく、車検証の「車両重量区分」でも金額が変わります。S30Zは軽量とはいえ個体差があるため、車検証で「~1.0t」なのか「1.0t超~1.5t」なのかを必ず確認してください。目安としては、18年超・2年分で25,200円(~1.0t)~37,800円(1.0t超~1.5t)のレンジになります。
税制の仕組みや重課税の詳細については、以下の総務省のページで一次情報を確認することができます。
(出典:総務省「自動車税種別割」)
L型エンジンの実燃費は5km台

次に気になるのが燃費です。現代のハイブリッド車ならリッター20km以上、ガソリン車でもリッター15km走るのが当たり前の時代ですが、半世紀前に設計されたキャブレター車であるS30Zに、そこまでの経済性を求めるのは現実的ではありません。
S30Zの燃費は、搭載されているエンジンの仕様(L20、L24、L28など)や、装着されているキャブレター(純正SUツイン、ソレックス、ウェーバーなど)のセッティングに大きく左右されます。また、電子制御インジェクションではないため、気候や標高によっても燃焼状態が変化し、燃費が変動しやすいという特徴があります。
一般的に、L20型ノーマルエンジンであれば比較的燃費は良く、街乗りでリッター7km前後走ることもあります。しかし、多くのファンが求める「ソレックス44Φ」などのスポーツキャブレターを装着し、吸排気系をチューニングしたL24やL28仕様車の場合、実燃費はガクンと落ちます。
具体的な数値としては、ストップ&ゴーの多い市街地走行でリッター5km~6km程度を見ておくのが無難です。渋滞にハマればリッター4km台に落ち込むことも覚悟しなければなりません。
高速道路を一定速度で巡航する場合は少し伸びて、リッター7km~8km、調子が良ければ9km近く走ることもありますが、現代車のように「カタログ燃費」という指標が存在しないため、個体差が非常に激しいのが実情です。
トヨタGR86やマツダロードスターなどがリッター10km〜13km程度走ることを考えると、S30Zの燃料コストは現代のスポーツカーの約2倍かかると考えて間違いないでしょう。
【冬場の暖機運転もコストのうち】
キャブ車はエンジン始動直後、アイドリングが安定するまで数分間の「暖機運転」が必要です。この間もガソリンを消費し続けます(しかも濃い混合気で)。走り出す前に缶コーヒー1本分くらいのガソリンを使っている感覚を持つ必要があります。
35歳12等級での年間保険料目安
維持費のシミュレーションにおいて、意外と見落としがちで、かつ契約時に苦労するのが「任意保険」です。旧車は、現代車のように明確な「型式別料率クラス」が適用されにくかったり、そもそも車両保険の引き受けを断られたりするケースが少なくありません。
まず、対人・対物賠償のみ(車両保険なし)であれば、一般的な中古車とそこまで変わらない金額で加入できます。例えば、35歳・12等級・日常レジャー使用・本人配偶者限定という条件でシミュレーションした場合、年間保険料は4万円~5万円程度が目安です(条件・地域・会社で変動します)。
問題は、自分の車の修理費を補償する「車両保険」です。S30Zは市場価値が500万円~1,000万円以上に高騰していますが、一般的な保険会社の査定データベースでは「年式が古く価値のない車」と見なされ、時価額数万円と判定されてしまうことがあります。これでは事故の際に直すことができません。
そのため、旧車専門店と提携している代理店や、クラシックカー向けの仕組みを用意している窓口で、「協定価額」などの考え方を含めて相談する必要があります。
例えば「協定価額500万円」で車両保険(一般条件)をセットすると、保険料は一気に跳ね上がり、年間10万円~15万円、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。車両保険を付帯するかどうかで、年間の維持費が10万円単位で変わってくるのです。
走行距離で変わるガソリン代総額
では、具体的にガソリン代は年間でどれくらいかかるのでしょうか。前述の通り燃費は良くありませんが、それ以上に重要なのが「ガソリンの種類」です。
ここは誤解されやすいポイントなので整理しておきます。S30Zの燃料は「個体の仕様次第」です。ノーマル圧縮比・ノーマル寄りの点火やキャブ設定ならレギュラーで問題ないケースもあります。
一方で、ハイコンプ化や点火進角、ソレックス装着などチューニングが入っている個体は、ノッキング回避の観点からハイオク推奨となることが多いです。迷ったら主治医(ショップ)に確認するのが確実です。
この記事では「安全側(チューニング個体も想定)」に倒して、ハイオク前提で試算します。仮にハイオク単価を180円/L、平均燃費を厳しめに見積もって6km/Lとして、年間の走行距離別に計算してみましょう。
| 年間走行距離 | 消費ガソリン量 | 年間ガソリン代 | 月額換算 |
|---|---|---|---|
| 3,000km (月250km程度) | 500L | 90,000円 | 約7,500円 |
| 5,000km (月400km程度) | 833L | 約150,000円 | 約12,500円 |
| 10,000km (月800km程度) | 1,666L | 約300,000円 | 約25,000円 |
週末に近場をドライブしたり、月に一度のツーリングを楽しむ程度(月400km程度)なら年間5,000kmで済みますが、それでも年間15万円の出費です。
もし通勤にも使いたい、あるいはロングツーリングを頻繁に行うという場合は、年間30万円近い燃料費がかかることを覚悟しなければなりません。現代のエコカーならこの半額以下で済むわけですから、やはり「走る楽しさへの対価」と割り切れるかどうかがポイントになります。
車検などのメンテナンス費用詳細
税金やガソリン代といった「走るための費用」以外にも、車としてのコンディションを維持するためのメンテナンス費用がかかります。特に製造から50年が経過したS30Zは、現代車のように「オイル交換だけで10万キロ走れる」というわけにはいきません。ここでは、旧車ならではのメンテナンス事情とコストについて深掘りします。
2年に1度の車検にかかる基本費用
2年に一度訪れる車検。この費用は「法定費用」と「整備費用」の2つに大きく分かれます。まず、どこで受けても変わらない法定費用(重量税、自賠責保険、印紙代)については、2年間で約6万円~7万円程度が目安となります(重量税は車両重量区分で変動)。
大きく変わるのは「整備費用」です。S30Zの場合、現代車ではチェックしないような項目も調整が必要になることがあります。例えば、キャブレターの同調調整、点火時期の調整、ドラムブレーキのシュー調整などです。
これらの作業は、旧車の知識がない格安車検チェーン店やガソリンスタンドでは断られることが多く、基本的には旧車専門店やノウハウのある整備工場に依頼することになります。
大きな不具合がなければ、基本点検整備料(24ヶ月点検)と代行手数料を含めて、整備費として5万円~8万円程度で収まることもあります。しかし、旧車の場合は「車検のついでに、オイル漏れしているミッションシールを交換しよう」「ステアリングのブッシュが割れているから交換しよう」といった追加整備が発生するパターンが非常に多いです。
ブレーキ周りのオーバーホールや、排ガス検査をクリアするためのキャブ調整などが重なると、車検総額として15万円~20万円コースになることも珍しくありません。現代車の車検が10万円以下で済むことを考えると倍以上のコスト感ですが、最低でも車検用に10万円~15万円程度は手元に用意しておいた方が安心です。
オイル交換など消耗品の年間コスト
日々のメンテナンスで最も頻度が高いのがエンジンオイル交換です。L型エンジンはオイル量が4.5L~5L程度(オイルパン形状による)と、2.0Lクラスの排気量にしては容量が多めです。また、エンジンの設計クリアランスが現代車より広いため、オイルの汚れや劣化が比較的早く進みます。
現代の車なら1万キロや1年ごとの交換でも問題ありませんが、旧車の場合は3,000kmごと、あるいは距離を走らなくても半年ごとの交換が推奨されています。
使用するオイルも、現代のサラサラした省燃費オイル(0W-20など)は厳禁で、鉱物油ベースの硬めのオイル(15W-50や20W-50など)を選ぶ必要があります。これが意外と高価なものが多いのです。
オイル交換1回あたり、オイル代(5L)と工賃で約5,000円~8,000円程度。2回に1回のエレメント交換も含めると1万円近くかかります。年に2回交換すると仮定すれば、年間で約1.5万円~2万円程度を見ておく必要があります。
さらに、旧車ならではの消耗品として「スパークプラグ」があります。キャブレター車は条件によってプラグが「かぶる(燃料で濡れて火花が飛ばなくなる)」ことがあり、現代車のように10万キロ無交換というわけにはいきません。
定期的な清掃や交換が必要です。また、タイヤについても、S30Z純正サイズの14インチ等は比較的安価ですが、ハイグリップタイヤを履かせる場合は4本セットで工賃込み5万円~8万円程度の出費が数年に一度発生します。
突発故障に備える月々の積立金
旧車ライフで最も恐ろしいのが、ドライブ先での予期せぬトラブルです。「昨日まで調子が良かったのに、急にエンジンがかからなくなった」「信号待ちで止まったら再始動できない」といった事態は、S30Zオーナーなら誰もが一度は経験する通過儀礼のようなものです。
よくあるトラブルとしては、以下のようなものがあります。
- オルタネーター(発電機)の故障: バッテリーが上がって走行不能になる。修理費約3~5万円。
- スターターモーター(セル)の故障: エンジンが掛けられなくなる。修理費約3~4万円。
- 燃料ポンプの故障: ガソリンが送られずエンストする。修理費約2~3万円。
- クラッチレリーズからのフルード漏れ: クラッチが切れなくなる。修理費約2万円。
こうした部品は、製造から一度も交換されていなければ寿命を迎えている可能性が高いです。そのため、毎月一定額を「修繕積立金」として確保しておくことが、長く乗り続けるための秘訣です。
あくまで目安ですが、私は月々1万円(年間12万円)程度を予備費として別の口座に入れています。使わなければ翌年のカスタム費用や車検代に回せば良いだけですので、精神衛生上もこの積立は必須と言えるでしょう。
現代車と比べた税金や燃費の差
ここで一度、現代のスポーツカーと維持費の構造を比較してみましょう。ターゲット層が近い現行のトヨタGR86(2.4L)と比較すると、以下のような明確な違いが見えてきます。
| 項目 | S30Z (2.4L) | 現行車 (2.4L) | 差額イメージ |
|---|---|---|---|
| 自動車税 | 約51,700円 | 約43,500円 | S30Zが約8,000円高い |
| 重量税(2年) | 約25,200~37,800円 | 約24,600円 | S30Zが最大で約1.3万円高い |
| 実燃費 | 約6km/L | 約11km/L | 燃料費は約2倍 |
| エアコン | 効かない/無し | 快適 | 修理費リスク大 |
| 故障リスク | 常にあり | ほぼ無し | 予備費が必須 |
税金の差額は年間で見れば数千円~1万円程度ですので、実はここが決定的な差ではありません。やはり圧倒的に違うのは「燃費による燃料代」と「メンテナンス費用の不確実性」です。
GR86ならオイル交換とたまのワイパーゴム交換くらいで済みますが、S30Zは何が起きるか分からないリスクに対してコストを割く必要があります。この「不確実性」こそが、旧車維持費の正体とも言えるでしょう。
S30Zを維持するための現実的計画
脅かすような話ばかりしてしまいましたが、ここからは建設的な話をしましょう。これまでの項目を合算して、実際に年間どれくらいのお金が必要になるのか、具体的なシミュレーションを行ってみます。「維持費が高い」と漠然と怖がるのではなく、数字で把握することで、「これなら払える」「ここを節約しよう」といった現実的な計画が立てられるはずです。
年間5000km走行時の総額試算

ここでは、最も一般的な「週末ドライバー」を想定したモデルケースを作成しました。条件は以下の通りです。
- 車両:S30Z 2.4L(L24)
- 年齢:35歳(12等級)
- 走行:年間5,000km(月約400km)
- 保険:車両保険なし(対人対物のみ)
- 保管:自宅ガレージ(駐車場代なし)
| 項目 | 年間費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 自動車税 | 約51,700円 | 2.4L・重課税適用 |
| 重量税・自賠責 | 約30,000円 | 車検時に支払う法定費用を1年換算(重量税は車両重量で変動) |
| 任意保険 | 約45,000円 | 車両保険なしの場合 |
| ガソリン代 | 約150,000円 | 5,000km走行・ハイオク180円で試算(仕様次第で変動) |
| オイル・消耗品 | 約20,000円 | オイル交換年2回など |
| 車検整備積立 | 約30,000円 | 車検時の整備費を1年換算 |
| 修理予備費 | 約120,000円 | 月1万円のトラブル積立 |
| 合計 | 約446,700円 | 駐車場代・ローン除く |
この試算によると、S30Zを維持するためには、年間でおよそ45万円前後の費用がかかる計算になります。これはあくまで「車を維持して走らせるためだけ」の費用です。
もし東京都内などで駐車場を借りる必要がある場合は、ここに年間20万~30万円が加算されますし、車両購入のローンがある場合はその返済額も乗っかってきます。また、車両保険に加入する場合はプラス10万円前後の上振れも見込んでおくと安全です。
月々の支払いに換算した負担額
年間45万円というと非常に大きな金額に感じますが、月々の支払いに換算して考えてみましょう。
450,000円 ÷ 12ヶ月 = 約37,500円
つまり、駐車場代が不要な環境であれば、毎月約3.8万円を車のために捻出できれば、S30Zを維持することは十分可能だと言えます。飲み会を数回我慢したり、スマホを格安SIMに変えたりといった家計の見直しで捻出できる金額かもしれません。
「月4万円弱の趣味」として捉えれば、ゴルフやキャンプといった他の趣味と比較しても、決して実現不可能な金額ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、これは最低ラインの試算ですので、余裕を持つなら「月5万円」を車用の口座に移す習慣をつけるのがベストです。そうすれば、年間で15万円程度の余剰金が生まれ、数年後にはオールペンやエンジンオーバーホールといった高額メンテナンスの資金にも充てることができます。
資産価値と相殺する年間の実質負担

ここで、維持費を考える上で非常に重要な視点を一つ提示させてください。それは「リセールバリュー(再販価値)」という概念です。
現代の新車は、購入してナンバーを付けた瞬間に価値が2〜3割下がり、5年も乗れば半値以下になることも珍しくありません。つまり、維持費に加えて「車両価値の下落分(減価償却)」という目に見えない巨大なコストを支払っていることになります。
一方で、S30Zのような世界的な人気を誇るクラシックカーはどうでしょうか。適切なメンテナンスをしてコンディションを維持していれば、価値が下がることは稀で、むしろ年々相場が上昇している傾向にさえあります。場合によっては、購入時よりも高く売れるケースも十分にあり得ます。
例えば、500万円で購入したS30Zを5年間維持し、維持費に総額250万円かかったとします。しかし、5年後に車が550万円で売れたとしたらどうでしょう。
車両の売却益50万円が維持費を相殺し、実質的な5年間の負担額は200万円(年間40万円)で済んだことになります。新車を買って5年後に二束三文で手放すコストと比較すれば、「資産価値のある旧車」の方が、トータルコストで見れば安く済むという考え方もできるのです。
日々のガソリン代や税金という「キャッシュフロー」は確かに重いですが、それは「価値ある資産を守るための管理コスト」とも捉えられます。消費されて消えていくお金ではなく、資産価値を維持するための投資だと考えれば、少しだけ気が楽になりませんか?
フェアレディZの維持費に関するよくある質問
ここまで税金や燃費、メンテナンス費用などの詳細を見てきましたが、実際に購入を検討する段階になると、より個人的な状況に合わせた疑問が出てくるものです。ここでは、これからS30Zオーナーを目指す方から特によく聞かれる、金銭面にまつわる不安や疑問についてお答えします。
Q. 学生や20代の若手社会人でもS30Zは維持できますか?
A. 維持自体は可能ですが、経済的なハードルは非常に高いです。
特に21歳未満や26歳未満の場合、任意保険料が驚くほど高額(年間10万円~20万円)になります。また、故障時の修理代もポンと出せる貯金が必要です。ご実家に駐車スペースがあるなど恵まれた環境でない限り、アルバイト代やお給料の大半を車につぎ込む覚悟が必要です。まずはS30Zに乗るために仕事を頑張る、というモチベーションにするのも良いかもしれません。
Q. 旧車を購入する際、ローンは組めますか?
A. 一般的な銀行のマイカーローンは「新車から10年以内」などの年式制限があり、S30Zは融資対象外となるケースが多いです。
しかし、旧車専門店が提携している信販会社(ジャックスやオリコなど)のオートローンであれば、車両の価値を認めて組める場合がほとんどです。また、銀行でも「フリーローン(多目的ローン)」であれば使えますが、金利は通常のオートローンより高め(5%~10%程度)になる傾向があります。無理のない返済計画を立てましょう。
Q. 車両保険には入っておくべきでしょうか?
A. 予算が許すなら、強く、強く推奨します。
S30Zはバンパーやライト枠などのパーツ単体でも高騰しており、軽い接触事故でも修理費が数十万円になります。また、万が一の盗難や全損事故のリスクを考えると、車両保険なしで乗るのは「数百万円の現金を裸で持ち歩く」のと同じくらいリスクが高い行為です。契約可否や条件は会社・地域・車の状態で差が大きいので、旧車に強い代理店や主治医に相談して進めるのが確実です。
フェアレディZの維持費総括

最後に、この記事のポイントをまとめます。S30型フェアレディZの維持費は、決して「安い」とは言えませんが、事前にしっかりとシミュレーションし、リスクを把握しておけば、過度に恐れる必要はありません。
- 自動車税と重量税の重課税により、税金面では現代車より割高になりやすい(重量税は車両重量区分で変動)
- 実燃費はリッター5~6km程度、ガソリン代は現代車の約2倍を見込むべき
- 突発的な故障に備え、月々1万円程度の「修理積立」をしておくと安心
- 年間維持費は約45万円(月々約3.8万円)が目安(駐車場・ローン・車両保険除く)
- 維持費は高いが、車両の資産価値が落ちにくいため、トータルコストは意外と優秀
数字だけ見ると「やっぱり大変そうだな…」と尻込みしてしまうかもしれません。しかし、S30Zの細いステアリングを握り、アクセルを踏み込んであのL型サウンドを響かせて走る喜びは、このコストを払ってでも手に入れる価値があると私は信じています。
お金は稼げば取り戻せますが、人生の時間は限られています。まずは月々4万円の捻出が可能か、一度ご自身の家計簿と向き合ってみてはいかがでしょうか?その一歩が、あなたのガレージに憧れのZを迎え入れるための、最初で最大のステップになるはずです。