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240Zと280Zの違い:アナログな感性か、実用的な剛性か。後悔しないS30選びの最終結論

オレンジ色のダットサン240Zとシルバーの280Zが向き合っている比較画像。「永遠の問い。240Zか、280Zか」というキャッチコピー。

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こんにちは。「classicfrontier」の「マコト」です。

S30型のフェアレディZといえば、流麗なボディラインとロングノーズ・ショートデッキのスタイルが魅力ですが、その中でも240Zと280Zの違いについて悩まれる方は非常に多いです。

見た目は似ているのに、なぜこれほど評価や価格が異なるのか、そして自分のスタイルに合うのはどちらなのか。特にこれから旧車デビューを考えている方にとって、キャブレターとインジェクションの違いや、ボディ剛性、排気量の差は、購入後の満足度を大きく左右する重要な要素になります。

同じように見える外観の下に隠された、エンジニアたちの苦悩や時代の変化による改良の跡を知ることで、あなたのパートナーとなるべき一台が見えてくるはずです。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • ✅ 240Zが欲しいけれど価格が高騰しすぎていて、現実的に手が出ない。
  • ✅ 280Zは「排ガス規制で牙を抜かれた」と聞くが、実際の走りはどうなのか知りたい。
  • ✅ キャブレターの調整に自信がなく、インジェクションの維持のしやすさに惹かれている。
  • ✅ 購入後に後悔しないよう、見た目では分からない乗り味や性格の違いを明確にしたい。

もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。

240Zと280Zの違いを決定づける特徴

まずは外見やカタログスペックだけでなく、その生い立ちや市場での立ち位置から、両車の決定的な違いを見ていきましょう。同じS30のボディを纏っていても、その中身は時代の要請によって大きく変化しており、それぞれが背負っている背景を知ることが理解への第一歩です。

外観と大型バンパーの識別点

上段は240Zの細身のメッキバンパー、下段は280Zの大型衝撃吸収5マイルバンパーのクローズアップ比較写真。

240Zと280Zをパッと見たとき、最も顕著であり、かつ好みが大きく分かれるポイントがバンパーの形状です。

初期の240Zは、シンプルで細身のメッキバンパーを採用しており、これがS30本来の「ロングノーズ・ショートデッキ」という軽快で美しいスタイリングを最も純粋な形で表現しています。

このバンパーはデザイン優先で作られており、ボディラインの流れを阻害せず、スポーツカーらしいシャープな印象を与えます。多くのファンが「Zといえばこの姿」と連想するのは、やはりこの初期スタイルの影響が強いでしょう。

一方、1975年以降に北米で主力となった280Zは、当時のアメリカで厳格化された低速衝突対策の規制(いわゆるバンパースタンダード。FMVSS 215の流れを汲み、のちに49 CFR Part 581として整備)に対応するため、通称「5マイルバンパー」と呼ばれる大型の衝撃吸収バンパーを装備しています。

低速の接触・衝突でライト類などの重要部品の損傷を抑えることを目的とした規制への回答で、バンパー本体とボディの間にエネルギー吸収機構(ショックアブソーバー構造)が組み込まれた、非常に凝った作りです。

視覚的には前後に大きく突き出し、重厚で少しマッチョなルックスになります。

発売当時は「野暮ったい」「デザインを台無しにした」と批判されることもありましたが、現在ではこの「無骨さ」こそが70年代後半の北米仕様車の味であると再評価する声も増えています。

また、このバンパーを支えるために車体側の構造も見直されているため、見た目以上に「時代の要請で鍛えられたZ」だと捉えると面白いです。

マコト
マコト
正直に言うと、私も最初は『バンパーがデカすぎて重そうだな…』なんて食わず嫌いしてました。でも、実車を目の前で見ると、このゴツさが逆にアメリカンマッスルカーみたいで、不思議とカッコよく見えてくるんですよね(笑)

日本国内での販売と流通事情

実はここが多くの人を混乱させるポイントなのですが、日本国内の市場において「純正のS30型280Z」というモデルを見かけることは、極めて稀です。なぜなら、280Z(S30ボディ)は、主に北米市場などの海外輸出向けに特化して開発・販売されたモデルだからです。

豆知識:日本のZ事情

日本では自動車税の区分が排気量2.0Lを境に大きく跳ね上がる税制の都合もあり、S30系は2.0Lエンジン(L20型)を搭載したモデルが主力でした。国内で「240Z(2.4L)」が発売されたのは1971年11月で、北米での大ヒットを受けて国内投入された流れです。
そして、さらに排気量を拡大した「280Z」という名称が日本で公式にラインナップされたのは、フルモデルチェンジ後の2代目S130型(1978年〜)からとなります。
(出典:Nissan Heritage Collection:Fairlady Z-T(S31) / Nissan Heritage Collection:Fairlady 280Z-L(HS130)

そのため、現在日本の中古車市場で流通しているS30型の280Zは、そのほとんどが一度北米などで登録され、その後日本に「逆輸入」された車両です。これらは左ハンドルであり、サイドマーカーの形状やスピードメーターのマイル表示など、北米仕様ならではの特徴を持っています。

一方で、稀に右ハンドルの280Z仕様を見かけることがありますが、これは日本のL20搭載車にL28エンジンを載せ替えた、いわゆる「公認改造車(L28改)」であるケースが大半です。

「純正の280Z(左ハンドル)」なのか、「改造車の280Z仕様(右ハンドル)」なのか、この出自の違いは車両の価値や維持の仕方に大きく関わってくるため、購入前には車検証の型式や車体番号をしっかり確認する必要があります。

なお、国内仕様(S30Z/フェアレディZ)と輸出仕様(240Z)の名称のズレで混乱している方は、こちらの記事(240ZとS30Zの違い)も合わせて読むと、型式と呼び名がスッと整理できます。

2シーターと2by2のボディ形状

ボディ形状に関しても、240Zと280Zでは市場での見え方や流通の比率が少し異なります。S30系には、純粋なスポーツ走行を楽しむための「2シーター」と、後部座席を備え実用性を高めた「2by2(ツーバイツー)」の2種類が設定されています。

240Zの時代は、スポーツカーとしての純粋性が強く求められたため2シーターの人気が圧倒的でしたが、280Zの時代(1975年〜1978年)になると、Zはよりラグジュアリーな「GT(グランドツーリング)カー」としての性格を強め、北米市場では2by2の需要も高まりました。

2by2は、2シーターに比べてホイールベースが約300mm(約12インチ)延長されており、全長も長くなっています。

デザイン上の識別点としては、ルーフラインがキャビン後方へ緩やかに伸びている点と、ドアの後ろにあるクォーターウィンドウの形状が台形に近い形(2シーターはより鋭角)になっている点が挙げられます。このロングホイールベース化は、実は走行性能にも大きな影響を与えています。

一般的に「コーナリングの切れ味を楽しむならショートホイールベースの2シーター」と言われますが、一方で「高速巡航時の直進安定性や乗り心地の良さはロングホイールベースの2by2が勝る」という側面があります。

280Zの太いトルクと2by2の安定した挙動は非常に相性が良く、長距離ドライブを快適にこなす大人のGTカーとしての資質は2by2の方が上かもしれません。見た目の好みは分かれますが、「実用的な旧車」を探している方にとって、280Zの2by2は意外なほど理にかなった選択肢となるでしょう。

スペック比較で見える走りの性格

次は、皆さんが最も気になるであろうエンジンのスペックや走行性能について比較していきます。排気量が上がったのに「遅くなった」と言われる噂の真相や、数値だけでは見えてこない実際の乗り味、フィーリングの違いについて深く掘り下げてみましょう。

木漏れ日の中のワインディングロードを走るオレンジ色の240Zと、海沿いの高速道路を巡航するシルバーの280Zの対比画像。「選択は優劣ではなく哲学である」というメッセージ。

L24とL28エンジンの排気量差

上段はSUツインキャブを装備したL24型エンジン、下段は電子制御インジェクションを装備したL28E型エンジンの比較写真。

エンジンの型式名が示す通り、240Zは2.4L(2,393cc)の「L24型」、280Zは2.8L(2,753cc)の「L28型」エンジンを搭載しています。単純に数字だけを見れば、排気量が約360cc大きい280Zの方が高性能に思えるかもしれません。しかし、ここで重要になるのが「時代背景」と「開発の目的」です。

240Zに搭載されたL24型は、まだ排ガス規制がそれほど厳しくなかった1970年代初頭の設計です。そのため、吸排気の効率を優先した設計が可能で、SUツインキャブレターとの組み合わせにより、高回転まで「クォーン」という乾いた快音を響かせながら気持ちよく吹け上がります。これが「Zはレスポンスだ」と言われる所以です。

対して280ZのL28型(L28E)は、1970年代中盤のアメリカで厳格化した排ガス規制に適合させるために、触媒やEGR(排ガス再循環装置)などを組み合わせ、圧縮比も抑えながら成立させたユニットです。

その“規制対応で失われがちな余力”を補う意味でも、排気量を2.8Lまで拡大した背景があります。しかし、この排気量アップにより、低回転域からのトルクはL24を凌駕するほど太くなりました。

結果として、280Zは高回転を回して走るよりも、中低速のトルクに乗せてゆったりと、かつ力強く走るのが得意なエンジンに仕上がっています。

馬力とトルク特性のデータ比較

当時のカタログスペックを見比べると、数値の読み方に少し注意が必要です。1970年代初頭まではエンジン単体に近い条件で計測する「グロス(Gross)」表記が一般的でしたが、70年代中盤以降は補機類を装着した実車に近い条件の「ネット(Net)」表記が主流になったため、表の数字をそのまま並べて比較すると誤解が生まれやすいからです。

比較項目240Z (US 1970-73)280Z (US 1975-78)
エンジン型式L24 (直列6気筒 SOHC)L28E (直列6気筒 SOHC)
排気量2,393 cc2,753 cc
燃料供給装置SUツインキャブレターBosch系 L-Jetronic EFI
最高出力151 hp @ 5,600 (Gross) ※参考149 hp @ 5,600 (Net)
最大トルク146 lb-ft @ 4,400 (Gross) ※参考163 lb-ft @ 4,400 (Net)
圧縮比9.0:1(初期)8.3:1
240Zの146lb-ftと280Zの163lb-ftを比較し、街中での力強さはトルクにあることを解説したインフォグラフィック。

数値上、240Zの151hp(グロス)と280Zの149hp(ネット)を単純比較すると、240Zの方がパワフルに見えることもありますが、そもそも測定条件が異なるため、そのままの優劣比較はできません。

むしろここで注目すべきはトルクの出方です。280Zの太いトルクは、発進時のクラッチミートの瞬間から明確な違いを感じさせます。

アクセルを軽く踏むだけで車体がスッと前に出る感覚は280Zならではのものであり、ストップ&ゴーの多い日本の交通事情においては、このトルクフルな特性が非常に扱いやすく感じられるはずです。

車両重量増加とボディ剛性の強化

ドア内部のサイドインパクトビームや衝撃吸収バンパーなど、280Zで追加されたボディ補強箇所を示す透視図イラスト。

「280Zは重い」というのは、S30ファンの間では定説となっており、事実でもあります。初期の240Z(北米仕様)はおおむね2,300〜2,400ポンド台なのに対し、280Zは装備や年式・AT/MTで差はあるものの2,700〜2,900ポンド台まで増えています。

スポーツカーにとって重量増は運動性能の低下を招く「悪」とされがちですが、こと280Zに関しては、これをネガティブに捉える必要はありません。

この重量増の正体は、単なる贅肉ではなく、安全対策と走行安定性のための「筋肉(補強)」だからです。

具体的には、ドア内部に埋め込まれたサイドインパクト対策、厚みを増したフロア周辺、強化されたサスペンション取り付け部、そして前述の大型バンパーとその支持部材などが重量増の要因です。これにより、280Zは240Zに比べてボディ剛性が飛躍的に高まっています。

実際に乗り比べてみると、240Zは段差を越えた際にボディ全体が少し震えるような「緩さ」を感じることがありますが、280Zは「ドンッ」と一発で衝撃を収束させるようなガッチリ感があります。

ボディがしっかりしているということは、サスペンションが設計通りに動くということであり、高速コーナーでの安心感や直進安定性は280Zの方が一枚上手です。現代の路上で安心してドライブを楽しみたいなら、この重量増は「安心への投資」と考えることができます。

このあたりのボディ構造の違いや、S30系全体のマイナーチェンジによる進化の過程については、こちらの記事(フェアレディZ S30 S31 違いの決定版)でもさらに詳しくマニアックに解説していますので、構造的な違いをもっと知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

0-60mph加速性能の実測値

加速性能については、当時のアメリカの自動車雑誌の実測データが参考になります。240Zは0-60mphで7秒台後半というテスト結果が残っており、軽量ボディが効いた“軽快な伸び”が持ち味です。

一方の280Zは、車重増があるぶん数字上は同等〜やや不利に見えることもありますが、太いトルクで押し出す「重厚な加速感」が魅力です。例えば高速道路での合流や追い越しなど、速度域が上がった状態からの再加速では、排気量に勝る280Zの方が余裕を感じる場面も少なくありません。「軽快なスプリント」か「力強いトルク」か、あなたの好みの加速フィールはどちらでしょうか。

キャブとインジェクションの燃費と信頼性

240Zと280Zの最大の違いとも言えるのが、燃料供給装置です。240ZはSUツインキャブレターを採用しており、対する280ZはボッシュのL-Jetronic系電子制御燃料噴射装置(EFI)を採用しています。

キャブレターの魅力は、何と言ってもその「吸気音」と「レスポンス」です。アクセルを開けた瞬間の「シュボッ!」という吸気音と、ダイレクトにエンジンが反応する感覚は、アナログメカニズムならではの至高の体験です。

しかし、その反面、気温や湿度、標高の変化に敏感で、常にベストな状態を維持するにはこまめな調整(同調をとる作業など)が必要です。また、チョーク操作が必要な冷間時の始動にはコツがいります。

一方、280Zのインジェクションは、エアフローメーターで吸入空気量を計測し、コンピューターが最適な燃料を噴射します。これにより、真冬の朝でもキーをひねるだけで始動しやすく、アイドリングも安定しやすいのが大きな利点です。

また、L-Jetronicは減速時の燃料カット制御を持つため、走り方によっては巡航・減速域の燃費でメリットが出ることもあります。キャブレターのような官能的な吸気音は控えめですが、「いつでも気兼ねなく乗れる」という信頼性は、旧車を維持する上で非常に大きな精神的アドバンテージとなります。

維持のしやすさと購入ガイド

最後に、実際にオーナーとして所有することを想定した場合の視点で比較します。憧れだけで購入してしまい、維持できずに手放してしまうのは悲しいことです。購入価格、日々のメンテナンス、そして将来性。これらを総合的に判断して、あなたに合う現実的な一台を見極めてください。

中古車価格と相場の動向

博物館に展示された投機対象としての240Zと、サーキットを走行するL28改チューニングベースとしての280Zの比較写真。

ここが購入における最大の悩みどころですが、市場価格には明確な格差が存在します。

240Z、特に1970年〜1971年の初期モデル(シリーズ1)は、世界的にコレクターズアイテムとして神格化されており、フルレストア済みの極上車であれば1,000万円を超える価格で取引されることも珍しくありません。もはや「投機対象」としての側面も強く、気軽に乗れる車ではなくなりつつあります。

一方で280Zは、長い間「排ガス規制で牙を抜かれたモデル」として、240Zの影に隠れて過小評価されてきた歴史があります。そのため、240Zに比べればまだ現実的な価格帯で見つけることが可能です。

しかし、近年ではS30型全体の枯渇と、280Zの実用性の高さ(剛性の良さなど)が見直され始め、価格は上昇傾向にあります。「S30の美しいスタイルが好きだけど、予算は抑えたい」「投機よりも実用を重視したい」という方にとって、280Zは今が最後の狙い目と言えるモデルかもしれません。

マコト
マコト
ここだけの話、240Zが手に入らない金額になった影響で、280Zの価格もここ数年でじわじわ上がってきています。『あの時買っておけば…』と後悔する前に、良い個体に出会ったら即決断するのが、今の旧車選びの鉄則かも知れません。

故障リスクとメンテナンス性

キャブレターをドライバーで調整する様子と、キーを回してエンジンを始動する様子を対比させ、維持の手間の違いを表現した画像。

メンテナンスに関しては、それぞれに特有の「ツボ」があります。240Zのキャブレターや点火系(ポイント式)は構造がシンプルであるため、ある程度の知識と工具があれば、オーナー自身で調整や修理が可能です。路上で止まっても、何とか応急処置で帰ってこられるような「アナログな強み」があります。

対して280Zのインジェクションシステムは、電子部品(ECU、エアフロメーター、各種センサー)と配線の健全性が重要になります。これらは経年劣化でトラブルが出た場合、新品部品の入手が困難なケースが増えてきています。

また、配線の劣化による電気的なトラブル(接触不良など)も起きやすい傾向にあります。とはいえ、一度しっかりと整備してしまえば、メンテナンスフリーに近い感覚で長期間安定して走れるのはインジェクションの強みです。

「毎週末ボンネットを開けて調整を楽しむ240Z」か、「プロにしっかり整備を任せて乗るだけの280Z」か。あなたのライフスタイルに合うのはどちらでしょうか。

チューニングベースとしての適性

実は、走りにこだわるマニアの間で密かに人気なのが、「280Zをベースにしたチューニングカー」です。先ほど触れたように、280Zはボディ剛性が高く、最初から2.8Lの「L28ブロック」が載っています。

L28改メカチューンの素材として最強

日産のL型エンジンのチューニングにおいて「L28」は、排気量アップのベースとして定番中の定番です。240Zの場合、もっとパワーを出すためにL28エンジンに載せ替えるケースが多いですが、これにはエンジン換装の手間や構造変更の申請が必要です。しかし、280Zであれば元々L28が載っているため、そのままボアアップやストロークアップを行い、「L28改3.0L」や「3.1L」といったモンスターエンジンを合法的に作りやすいのです。しかも、そのハイパワーを受け止めるだけのボディ剛性が最初から備わっているため、補強の手間も少なくて済みます。

内装の装備と快適性の進化

内装に関しても280Zは着実な進化を遂げています。基本的なダッシュボードのデザインやメーター配置は共通ですが、280Zでは空調の操作パネルが使いやすく改良されていたり、センターコンソールの形状が見直されています。

また、カーペットの下にある遮音材や吸音材が増量されているため、走行中の車内の静粛性は240Zよりも明らかに高いです。

さらに、280Zはクーラー装着車の比率が高く、配管やコンプレッサー周りの土台が揃っている個体も多いため、現代の冷媒対応にアップグレードする際の“入口”が比較的作りやすいケースがあります。

助手席にパートナーを乗せてのデートや、夏場のロングドライブを想定するなら、快適装備の充実度が高い280Zの方が、同乗者からの不満が出にくいのは間違いありません。

240Zと280Zの違いから選ぶ結論

ここまで詳細に見てきた通り、この2台は見た目こそ似ていても、その開発思想と目指した方向性は大きく異なります。

  • 240Z:軽さとレスポンス、そして吸気音を楽しむピュアスポーツ。手間や不便さを愛し、車と対話しながら「操る楽しさ」を最優先したいストイックな人向け。
  • 280Z:剛性とトルクで余裕を持って走る大人のGTカー。普段使いや快適性を求めつつ、S30の美しいスタイルを楽しみたい人、あるいはL28改チューニングのベース車を探している現実的な人向け。

「どちらが優れているか」という優劣で判断するのではなく、「どちらが今の自分のライフスタイルや求めるカーライフに合致するか」という基準で選ぶのが、購入後に後悔せず、愛車と長く付き合っていくための秘訣かなと思います。

240Zと280Zに関するよくある質問(Q&A)

最後に、これから購入を検討されている方からよくいただく質問について、技術的な視点も含めてお答えします。

Q. 280Zの大型バンパーを外して、240Zのようなスリムなバンパーに交換できますか?

A. はい、可能です。これは「バンパーコンバージョン」と呼ばれる非常に人気のあるカスタムです。ただし、280Zはバンパーを取り付けるためのステーや、ボディ側のフレーム先端形状が240Zとは異なります。そのため、単純なボルトオン装着はできず、コンバージョンキットの使用や、ボディ側の板金加工が必要になるケースが一般的です。

Q. 280Zのインジェクションが壊れたら、キャブレターに変更できますか?

A. こちらも可能です。古い電子制御のトラブルを避けるため、あるいは吸気音を楽しむために、インジェクションを撤去してソレックスやウェーバーなどのキャブレターを装着する「キャブ化」は定番の手法です。280Zのシリンダーヘッドはキャブレター用のインテークマニホールドも装着できる構造になっていますが、燃料ポンプの交換(燃圧を下げる)や点火時期制御の変更など、トータルでのセッティングが必要になります。

Q. 部品の入手しやすさに違いはありますか?

A. 外装や内装のゴム類(ウェザーストリップなど)は、S30系として多くのリプロダクションパーツ(復刻品)が出回っているため、どちらも比較的維持しやすいです。しかし、エンジンの制御系に関しては、240ZのSUキャブ周辺の方が“選択肢”が多い傾向にあります。280Zの純正エアフロメーターやECUは新品が出ないことが多いため、故障時は専門業者での現物修理や、現代のフルコン(LINKやHaltechなど)へのアップグレードが必要になることがあります。

まとめ:240Zと280Zの違いは「アナログな感性」か「実用的な剛性」か

ピュアスポーツの240ZとGTカーの280Z、それぞれの特徴を理解して選ぶことが賢い選択であると説くまとめのメッセージ画像。

いかがでしたでしょうか。ここまで解説してきた240Zと280Zの違いについて、最後に重要なポイントを振り返ってみましょう。

  • 240Zは軽量ボディとキャブレターの吸気音を楽しむ、趣味性の高いピュアスポーツモデル
  • 280Zはボディ剛性が高く、L28エンジンの太いトルクで街乗りも楽な実用的なGTモデル
  • 日本国内には純正の「S30型280Z」はほぼ存在せず、多くは北米仕様の逆輸入車である
  • 維持の楽さならインジェクションを持つ280Z、ダイレクトな操作感ならキャブの240Zを選ぶべき
  • 価格高騰中の240Zに対し、280Zは比較的入手しやすく、L28改チューニングベースとしても優秀な素材である

あなたは「週末のガレージで油にまみれながらキャブ調整を楽しむ時間」と、「気兼ねなくキーをひねって、クーラーを効かせながらロングドライブに出かける時間」、どちらに魅力を感じましたか?

もし、実用性とS30のスタイルを両立させたい、あるいはこれから自分だけの一台を作り上げたいと少しでも思ったなら、「280Z」という選択肢を恐れずに検討してみてください。

それは決して240Zへの妥協ではなく、現代の道路事情でS30という名車を骨の髄まで遊び尽くすための、極めて賢い選択になるはずです。

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